00 設計事務所は何をするのか
設計事務所の業務は、大まかに言って建築物の設計(調査,基本計画、基本設計、実施設計,工事見積チェック)、申請(確認申請等の各手続き)、工事監理の3つです。工事監理とは、工事を行う施工業者の業務をチェックし、設計図書と現場の確認をしながら手抜きや不具合、瑕疵や不良工事が発生しないよう監督・指導を行うことです。

【 以下住宅建設を例にご説明させていただきます。 】
00 設計監理と施工の分離原則
施主の意向に沿って設計し、工事見積の当否を確かめ、工事業者が指定通りに施工するよう指導・監理するのが設計事務所の役割です。特に工事監理については本来、設計者と工事する業者がはっきりと分離しているしているからこそ可能となることです。公共機関は分離発注が定められています。それは工事によって直接利益を得る工事業者が、自らの工事を客観的に監理するのは難しいと判断しているためで、監理は第三者の専門家(=建築士)に依頼しています。

 海外では、設計・監理と施工とをはっきりと分離することを原則としており、請負者が、設計・施工・監理を一括して請負することはほとんどありません。ハウジングメーカーや工務店が一括で請負っているのは、長らく大工の棟梁が家の建築を行ってきた日本の伝統の名残りということが出来ます。
00● 設計監理料
通常、ハウジングメーカーや工務店の請負金額は、設計・監理料を含んだ金額です。その意味では設計事務所に依頼すると設計・監理料の分だけ出費が増えるという印象を持たれることと思います。しかし、施工業者も社内に設計士を雇用しているか、外部に業務委託しているはずで、全く無料でできるわけはありません。金額の多寡はともかく、何らかのかたちで工事費に反映されていると判断した方がよいでしょう

 また、品質については、設計事務所に監理を依頼した場合のほうが、そうでない場合に比べて向上するのは言うまでもありません。施工業者は、契約書に添付された図面や仕様書を勝手に変更して工事をすることは出来ません。しかし、設計図書どおりの工事を行うためには,直接施工を担当する方の個人的な経験や技量が大きく影響します。完全に設計図書を読み切れなかったり、チェックの漏れが発生した場合、適正な工事が行われない可能性があります。設計事務所が監理することにより、不良工事が発生する可能性は少なくなります。設計事務所に依頼するか否かの判断は、設計・監理という業務を依頼するということばかりでなく、品質と安心を得るということを重視するかどうかということもポイントになります。
00 設計事務所は施主の代理人です
上記までの説明の通り、工事業者が、施工者側の論理を100%離れて施主の利益を最優先することはできません。マスコミの報道で取り上げられる欠陥住宅・不良建築問題は、そうした施工者側の論理と施主側の論理が大きく食い違った極端な例といえるでしょう。

 医者や弁護士と同様、建築士法に定められた設計事務所の立場は,施主の立場に立って専門家として施主の権利を守り、良質な建築物を建てることです。住宅施工業者は家を建てるプロフェッショナルです。その方々に建築の専門家でない施主が自分の要望を貫き通すことは,やはり難しいことでしょう。その施主の代わりに、希望を専門家としてアドバイスし、施主に代わって施工業者に交渉・要求していくのが設計事務所です。いわば、設計事務所は施主の代理人と言うことができます。
00 設計業務の進め方
設計業務の進め方について以下に詳しくご説明致します。
■建築相談 ・相談:無料・建築について、何でも自由に相談してください。出来る限り、適
 切なアドバイスをさせていただきます。電話でも、電子メールでも、複雑な場
 合には事務所を訪問していただいても結構です。
・但し、作業を伴う様な内容については、有償となることがあります。
■調査
 ・計画依頼
・依頼時に調査費用(実費)をご負担いただきます。・計画するに当たっての
 具体的な条件・要望をヒアリングします。
・現地にて立地環境、現況、近隣状況等を目視にて調査・確認します。
・関係諸官庁等の法規制、指導、諸手続等の事前調査を致します。
・要望・諸条件を検討し、最も適切と判断される計画案(第一案)を提示しま
 す。
・万一この時点で、「計画を任すことができない」と判断された場合には、お断
 りいただいても結構です。
・但し、依頼時の調査費用は実費精算させていただきます。
・また、調査費用は著作への対価ではありませんので、計画案はお渡しはで
 きません
■設計契約 ・計画の進め方に対して当社を信頼いただき、さらに設計を進める場合には、
 設計契約をしていただきます。
・設計料は建築の用途・工事金額により「設計料率表」に基づき算定いたしま
 す。
・例えば、住宅の場合、設計料は、建築工事費の約10%程度となります。
・設計契約時分として、設計料の30%(依頼時の納入分を差し引いた金額)を
 納入していただきます
■設計着手 ・第1案を基本案として計画・検討を重ね、必要に応じ別案も作成しま
・計画が大筋で決定しますと、実施設計(詳細設計)に入ります。
・実施設計は主に、建築意匠設計・構造設計・設備設計・電気設備設計・外
 構設計等に分類されます。

・設計を進める中で、使用材料や設備機器類等の選定をし、グレードの決定
 をします。

■申請手続 ・実施設計がある程度進むと、確認申請等の役所の手続きし、着工までに許
 可を得ます。

・この時点以降での、プラン等の大幅な設計変更は、有償となることが有りま
 す。

■工事見積 ・実施設計が完了すると、施工業者(出来れば数社)に見積を依頼します。
・建築主に知り合いの業者がいない場合には、良心的な施工業者を紹介す
 る事も出来ます。
・各毛工業者からの見積が適正かどうかを査定をし、発注する施工業者を決
 定します。
・予算が合わない場合等には、相談の上、設計仕様の調整や工事範囲の縮
 小などの設計変更をします。
■設計完了
 ・工事着手
・工事着手後は、現場にて週1〜2回の工事監理(設計図書通りに施工されて
 いるか)を行います。
・現場打ち合わせにて、更に詳細なデザイン、工法等の
 検討を行います。
・実施設計完了時分として設計料の40%を納入していただきます。
■上   棟 ・工事の進捗にあわせて、建築主と立ち会い、使用材料の確認、検査等を行
 います。
・工事監理費として、設計料の20%を納入していただきます。
■完成検査 ・設計事務所検査:各部の材料、仕上げ、設備等に関して検査し、手直しの指
 示を与えます。
・関係諸官庁の検査を受け、検査済み証の発行を受けます。
・全ての検査、手直しの完了後、、建築主の引き渡し検査をし、不備な部分の
 手直しを指示します。
■引き渡し ・完成建物、使用機器類について、各業者により設備機器類等の取扱説明を
 します。
・各保証書、業者一覧、竣工図等の書類の引き渡しをします。
・工事監理費として、設計料の10%を納入していただきます。
■アフター ・完成後の不具合等については、随時相談、検討等をします。・引き渡し後、
 約1ヶ月に、施工業者と立ち会い、不良部分の手直し指示を与えます。
・引き渡し後、約1年後に、施工業者と立ち会い、不良・瑕疵工事の手直し指
 示を与えます。

【 建築を考えている方は次へお進みください 】
copyright 2000 by intec,inc. all rights reserved.